MOON LIGHTERS

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働き方改革





























副業先進国アメリカにみる「ダブルワーク」の理想と現実

いわゆる「働き方改革」における一連の流れの中で、民間企業正社員の副業が解禁される方向に向かっている。これまでの日本の企業文化にはなかった“ダブルワーク”だが、副業を持つことで勤労者の生活にどのような影響を及ぼすのか? 一足先にWワークが普及しているアメリカの研究が注目を集めている。


Wワーカーは複数の仕事に優劣をつけていない

最近の調査によればアメリカ人勤労者の720万人が2つ以上の仕事を掛け持ちしているという。特に男性勤労者の50%が2つ以上の仕事に従事しているのだ。月夜の時間にも働いているという意味でムーンライター(MOON LIGHTERS)と呼ばれるWワーカーは平均に週46.8時間の労働をしており、アメリカ人の平均労働時間である38.6時間よりも8時間以上も長く働いていることになる。米・ボールステイト大学の研究チームはこれらWワーカーの実態を調査した研究を先日、学術ジャーナル「Springer」で発表した。研究チームはWワーカーのそれぞれの仕事に対する勤労意欲(work engagement)を調査することに加え、実際の勤務態度を専業労働者と比較した。研究の結果、Wワーカーは複数の仕事に優劣をつけていないことが浮き彫りになった。「福業」はメインではない仕事を意味する言葉だが、イメージに反して多くのWワーカーはどちらの仕事も同じように“メイン”であると考えている傾向があるのだ。したがってWワーカーはどちらの仕事に対しても高い意欲を持ち、勤務態度についても専業の社員に何ら変わるところはないということだ。企業側がWワーカーは勤労意欲が低く職務を怠りがちになるのではないかと考えるのも無理はないが、実際にはそんなことはなかったのだ。企業にとってWワーカーを雇用することに懸念を挟む必要はないことになる。しかしWワーカーのリスクは別の所にあった。それは家族への影響である。総労働時間が長いWワーカーは当然のことながら家族と一緒に過ごす時間が少なくなる傾向にあるため、家族との軋轢が発生しやすくなっている実態もまた今回の研究で明らかになった。こうした実態から研究チームは企業はWワーカーを雇用することに何ら懸念を抱く必要はないものの、彼らの家族生活について配慮し、労働時間に制限を設けたり有給を取りやすくするなどの措置が企業には求められていると提言している。副業を解禁することで皮肉にも“モーレツ会社員”が復活してしまうのは本末転倒ということになるだろう。これからWワークが本格化する日本社会にあって気に留めておきたい話題だ。


副業を余儀なくされるアメリカの教師たち

日本社会から見ると意外過ぎるのだが、アメリカのWワーカー像で筆頭に挙げられるのが教師である。紋切り型のイメージとしては、男性の小中学校教員が夜はバーでバーテンとして働いているという姿が“ムーンライター”の典型例のひとつであるという。そしてアメリカで多くの教師が副業を余儀なくされているシビアな実態を先日「CNN」が特集している。なんと合計で6つの仕事を掛け持ちする教師がいるのだ。アメリカ・オクラホマ州の数学教師、ジョナサン・モイ氏(40歳)の朝はスクールバスの運転からはじまる。住宅街を回って子どもたちを拾い、学校に送り届けてからは自ら教鞭を執り、学校が終われば再び運転手となって子どもたちを送り届ける。取材したこの日はその後、リトルリーグの2試合で主審を務めたという。モリー氏はこのほかにも、サッカーとレスリングのコーチ、Uberのようなライドシェアサービスの運転手も副業として行なっており、合計で6つの仕事を掛け持ちしていることになる。教師としての収入を含めてこれだけの仕事をして、税金などを除いた手取り年収は400万円(3600ドル)ほどであるということだ。さらにショッキングなのがオクラホマ州マスタングのマスタング・ハイ・スクールで教鞭を執るアリソン・クバトさん(29歳)だ。彼女は家族を支えるために教職の仕事以外にもイベントコーディーネーターやフードデリバリーなどに従事しているのだが、実は自身の教員としての給与(年収約370万円)よりも高い報酬の“副業”を持っていた。なんと代理母出産である。教師の仕事を愛していたクバトさんだが、夫の仕事も思わしくなく一人娘のいる家族を支えていく苦渋の決断が代理母出産であった。そして先日には2度目の代理母を開始している。教師を続けるための代理母出産であったが、もはやこれ以上の心身への負担は無理と判断し、今学期で学校を辞職しその後はフルタイムのイベントプランナーとして働くつもりであるということだ。このほかにもCNNの特集では生活費のために庭の草刈りやウェイトレスやなどの仕事をしながら悪戦苦闘するオクラホマ州の教師が紹介されている。家族の食料確保のために、ホームレスなど生活困窮者のための食料支援制度である「フードバンク」を利用している教師もいるのだ。先日は前出のクバトさんが発起人となって教師の賃上げと待遇改善を求める大規模な抗議デモが行なわれている。またケンタッキー州でも同様の教師たちによる抗議デモが繰り広げられた。アメリカでは副業にまつわる実にシビアな現実があるのだ。


趣味と実益を同時に叶える副業

副業どころか複数の収入源を持たなければ家計をやりくりできないオクラホマ州の教師たちのシビアな実態が明らかになっている一方、報酬がそれほど良くなくとも副業として就業希望者が絶えない職種があるという。それはジムやフィットネスクラブなどのインストラクターだ。豪チャールズ・スタート大学のジェニファー・サペ氏とクイーンズランド工科大学のグレンダ・マコナチー氏の合同研究チームは、1993年から豪クイーンズランドのジムやフィットネスクラブで働くインストラクターを調査している。ジムやフィットネスクラプなどのインストラクター職は、総じて賃金をはじめ待遇や労働条件があまり良くない職種であると見なされているのだが、それでもなぜか就業希望者が多いという。希望者の大半はパートタイム勤務を希望する副業としての就業希望者だ。研究チームが2008年と2009年に再びアンケート調査をしたところ、お金を稼ぐことを目的にフィットネス産業に従事している者はたった5%しかいないことが浮き彫りになった。それどころか、フィットネス産業従事者の58%は年に1000ドル(約11万円)以上の“自腹”を切って、ウエアやシューズ、スポーツ傷害保険などの費用を自己負担していることも判明した。つまりインストラクターであり続けることのコストを認めているのである。なぜ副業としてのインストラクター職に人気が集まるのか? もちろんジムで身体を動かすことが単純に好きであり、人に教えることも好きだということがまず第一にくるだろう。研究チームがさらにインストラクターたちから話を聞くとあるひとつのモデルが浮かび上がってきた。それは最初は会員としてジムに通っていた、いわば“卒業生”であるということだ。つまり自分の“成功体験”を人々に伝えて賞賛を受け、フットネスの世界の中での地位向上に繋げたいという思いもまた、インストラクターを副業に持つ理由になっているのだ。ある意味ではもはや仕事という概念から逸脱する副業であるとも言える。こうしたジムのインストラクターのような社会的な承認欲求を満たす副業は、ほかにも各種の講師やモデルやエキストラ、ダンサーなど探せばいろいろと見つかりそうだ。お金のために余計に働く必要のない恵まれた人々はこうした副業で趣味と実益を同時に叶えてみてもよいのかもしれない。


















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