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永遠の夢に向かって「バリー・シール/アメリカをはめた男」

 

「バリー・シール/アメリカをはめた男」

「バリー・シール/アメリカをはめた男」















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映画『バリー・シール/アメリカをはめた男』公式サイト

















































小説家・真山仁(まやま・じん)は語る

「この映画は2度見ることをお勧めします」。そう語るのは、トム・クルーズと誕生日が1日違い(トム・クルーズ 1962年7月3日生まれ/真山仁(まやま・じん) 1962年7月4日生まれ)の小説家、真山仁(まやま・じん)。「ハゲタカ」や「コラプティオ」など、綿密な取材とリアリティーある描写が身上の真山仁(まやま・じん)は、裏アメリカ史とも言えるこの映画に強く引かれたという。


もう一人の主役は80年代

バリー・シール/アメリカをはめた男」は、実在のアメリカ人、バリー・シールを主人公とした実録映画である。物語は1978年に始まり、1986年に終わる。監督はダグ・リーマン、主演はトム・クルーズ。2人は2014年に公開された映画「オール・ユー・ニード・イズ・キル」でも一度組んでいる。「とにかくエネルギッシュな時代でしたね。熱気がありました」。そう語る真山仁(まやま・じん)は、この作品の魅力の一つに、舞台となった80年代という時代を挙げる。いわば、もう一人の主役とも。そんな熱狂的な時代を象徴するかのように、同映画にはとてつもない量の札束が登場する。恐らく、映画史上こんなにもキャッシュが描かれた作品はないだろう。オンライン取引が中心となった今では貴重なシーンであり、映画でも見所の一つだ。「まだ一獲千金の夢があったと思います」。主人公のバリー・シールは大手航空会社のパイロットだが、その天才的な腕を買われ、ひょんなことから米中央情報局(CIA)やコロンビアの麻薬カルテルの依頼を引き受ける。そして莫大な金を稼いでいく。いわゆる巻き込まれ型の主人公だ。賢い人間よりも、本能と感性で生きるバリーのような人間が輝いた時代である。真山仁(まやま・じん)は映画の楽しみ方として、そんな時代の空気感をシンプルに楽しむのもありだと話す。「21世紀の日常からトリップして、元気をもらってほしい。それができるのも映画の魅力です」


“ダメ男”を演じるトム・クルーズの新境地

同作品の最大の魅力と言えば主演のトム・クルーズなのだが、これが大分勝手が違う。今回、彼が演じるバリー・シールは、自分を利用したCIAに復讐(ふくしゅう)するために告発ビデオを自撮りするが、このシーンのトムは、髪はボサボサ、目はやつれ、およそヒーローらしくない。端的に言えば、ダメ男の顔である。「いい意味で、裏切られました」。真山仁(まやま・じん)は、そんな“ダメ”なトム・クルーズを役者としての新境地と評価する。誕生日が1日違いの自身に照らして、歳相応とも言える役柄を初めて演じたことに共感したという。「人間、どこで自分の最大の武器を一度、横に置けるかだと思います」。トム・クルーズの最大の武器と言えば、華麗なるアクションとストイックな肉体美。それを今回、彼は封印した。真山仁(まやま・じん)は、この映画が俳優トム・クルーズの分岐点になるのではと考える。「クリント・イーストウッドも、ある時、彼の最大の武器であるマグナムを手放しました。それでもイーストウッドの魅力が消えることはなく、逆に深みが増しています」。真山仁(まやま・じん)は今回、トム・クルーズが体重を増やし、あえて人間臭い役を演じたことで、今後、役の幅が広がるのではないかと期待する。そして、世の女性たちにはこんな言葉も。「恐らく、完璧なトムとは異なる、今回のトムの姿により新鮮な魅力を感じるのではないでしょうか」


実録映画、アンチ・ヒーローの魅力

この映画は、実際にあった事件を基にした実録映画である。それについて、真山仁(まやま・じん)は自身の小説「ハゲタカ」を引き合いに、こう語る。「私の場合、現実の問題を取材して物語に織り込んではいますが、登場人物をはじめ全てフィクションです。対して、実録映画はモデルが特定される分、史実に縛られます」。実録だと、作り手が遊べる範囲はせいぜい事実の隙間を埋める作業に限られる。しかし、真山仁(まやま・じん)は、そんな実録映画にはフィクションにはない利点があると指摘する。「普通、ジェームス・ボンドと麻薬カルテルの運び屋を兼ねる人物をフィクションで描こうとすると、リアリティーがないと編集者にボツにされます。でも、現実にそういう人物がいたことを、実録なら書けるし読み手を納得させられる。それが実録の強みです」。更に、その役をトム・クルーズが演じることに意味があると強調する。「ある意味、彼はここで、本物のミッション:インポッシブルに到達したのです」また、主人公バリー・シールの魅力について、真山仁(まやま・じん)はこう続ける。「『ハゲタカ』の主人公・鷲津政彦もそうですが、悪いヤツなんだけど、どこか一本、筋が通っています。アンチ・ヒーローのほうが描いていて面白い」。ヒーローの物語は、次の展開が読みやすいのに対して、アンチ・ヒーローだと先を読みにくいという。「この読者や観客を“裏切る”瞬間が、書き手にとってのいわば麻薬、止められません」。同様に、トム・クルーズもそんなアンチ・ヒーローの魅力に引かれ、英雄と犯罪者の2つの顔を持つバリーを演じたいと切望したのではと、真山仁(まやま・じん)は指摘する。


なぜ、2度見るべきなのか

「バリー・シール/アメリカをはめた男」は、東西冷戦下のジミー・カーターとロナルド・レーガンの2人の大統領の時代の話で、舞台は当時“世界の火薬庫”と呼ばれた中南米である。歴史的・地理的にも、大半の日本人にはなじみが薄い。しかし、真山仁(まやま・じん)はあえて予備知識なしで見ることを勧める。「まずはシンプルに、トム・クルーズ演ずるバリー・シールの活躍を見てください。劇中、トムが乗る飛行機は全てノー・スタント。彼自身で操縦しています。そんな華麗なる飛行機野郎を楽しみましょう」だが、見終わった瞬間、様々な疑問も浮かんでくるだろう。なぜなら、ダグ・リーマン監督は劇中に様々な情報を詰め込んだものの、敢えて説明していない。彼一流の演出技法だ。そこで観客は、家に帰ってインターネットなどで学習する。「そして、もう一度見てください。なぜダグ・リーマン監督が今、この映画を撮ったのかが分かります。そう、現代アメリカへの警鐘です」。最後に、真山仁(まやま・じん)はバリー・シールの生き方について、「彼から学ぶものがあるとするなら」と前置きした上で、こう締めくくる。「人の幸せとは、自分が手に入れたいものを手に入れた瞬間、次に手に入れたいものを見つけられることだと思います」。悪いことをしていながら、それでも魅力ある人物だったバリー・シール。次に手に入れたいものを見つけられなかったのが、彼の悲劇だったのかもしれない。バリー・シール――。名優トム・クルーズが挑んだ、アンチ・ヒーローの物語である。


小説家・真山仁(まやま・じん)プロフィル

真山仁(まやま・じん)1962年大阪府生まれ。新聞記者、フリーライターを経て2004年に企業買収の舞台裏を描いた経済小説「ハゲタカ」でデビュー。2007年にドラマ化もされ話題を呼んだ。他にも「マグマ」「プライド」「コラプティオ」「黙示」など多数の著作がある。作品の対象に徹底的に迫る取材力と緻密な文体を併せ持つ。2017年6月には最新刊「標的」が出版され、2017年10月にはテレビ東京で同作を原作としたドラマ「巨悪は眠らせない 特捜検事の標的」が放映された。














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