永遠の夢に向かって『バーニング・オーシャン』

 

『バーニング・オーシャン』

『バーニング・オーシャン』















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映画『バーニング・オーシャン』公式サイト





























































『バーニング・オーシャン』

『バーニング・オーシャン』(Deepwater Horizon)は、2016年製作のアメリカの映画。2010年メキシコ湾原油流出事故をモチーフとした災害パニック映画。メキシコ湾沖約80kmにある石油掘削施設“ディープウォーター・ホライゾン”で海底油田から逆流してきた天然ガスの引火による大爆発が起こり、施設内に126名の作業員が閉じ込められてしまう。原因はスケジュールの遅れを理由に安全よりも利益を優先させた幹部が掘削再開を強行したためだった。会社に無断で助けを呼ぶな、自分達が先だと作業員を押しのけて逃亡する幹部とその部下。そんな幹部たちとは逆に、被害の拡大を食い止めようとする作業員達の奮闘と、閉じ込められた施設からの決死の脱出劇を描く。2010年にメキシコ湾沖で発生し、日本でも大きく報道された海底油田爆発事故を映画化。2010年4月20日(火曜日)、メキシコ湾沖約80kmに位置する石油掘削施設「ディープウォーター・ホライゾン」で、海底油田から逆流した天然ガスへの引火による大爆発が起こった。海上一面が火の海と化す最悪な状況の中、施設内に閉じ込められた作業員たちは被害の拡大を食い止めるべく奔走(ほんそう)し、決死の脱出を図る。「ローン・サバイバー」「バトルシップ」のピーター・バーグ監督が、人為的ミスの連鎖や親会社と下請け会社の確執(かくしつ)といった小さな原因の積み重ねが未曾有(みぞう)の大事故へと繋がっていく様子を緊張感たっぷりに描き出す。主演のマーク・ウォールバーグをはじめ、カート・ラッセル、ジョン・マルコビッチら実力派キャストが集結。


事実をそのまま映画にするのは難しい

事実をそのまま映画にするのは難しい。この難題に構成の力で立ち向かい、第一級のパニック映画に仕立てたのが映画『バーニング・オーシャン』だ。『バーニング・オーシャン』が描いているのは、2010年4月20日(火曜日)に発生したメキシコ湾の石油掘削施設"ディープウォーター・ホライゾン"での事故。ちょっと前まで訴訟(そしょう)で揉めてたような実話なので、登場人物も実在のモデルが存在するし劇中の固有名詞もだいたいそのままという、大変野次馬根性をそそる映画だ。主演はマーク・ウォールバーグ。愛する妻と娘を残し石油リグでの作業に赴くベテラン石油掘削作業員マイク・ウィリアムズの役だ。また、年季の入った現場監督役でカート・ラッセル、コスト第一で現場をせっつく経営サイドの偉い人(まあ悪役ですね)にジョン・マルコヴィッチと、いい顔のベテランが脇を固める。そして監督は我らがピーター・バーグ。名作『バトルシップ』の人として有名だが、本来は俳優もやれば監督もやる器用で真面目なおじさんだ。『バーニング・オーシャン』は『ローン・サバイバー』に続きウォールバーグを主演に据えた実録物ということになる。ストーリーは単純明快。作業が遅れ気味の石油掘削工事(正確には本格的に石油を掘る前に試しに掘ってみる工事)をやっている掘削施設"ディープウォーター・ホライゾン"で、「とっとと掘らんかい!」と本社が現場を急かしまくる。で、イヤイヤ急いで掘ってみたらトラブル続発の上に施設自体が大爆発。手に負えないから頑張って逃げろ!というものだ。


映画的盛り上げの妙味に溺れろ!

こういう内容の映画なので、劇中では「ネガティブ・プレッシャー」「セメントテスト」など石油掘削の専門用語がバンバン出てくる。なんのこっちゃ、と思うけど、序盤にマーク・ウォールバーグが自分の娘に仕事を説明するときの「コーラの缶を振ってから、缶に管を突き刺すとコーラがブーブー吹き出る」という話だけ頭に入っていればだいたいOK。コーラが吹き出すかも、吹き出さないかも、ということでおじさんたちが揉めてるな〜と思っていればおよそ理解できる。こういう、エンターテイメント性を持たせつつ実話の範疇(はんちゅう)からはみ出さないための省略と盛り上げが、本作はめちゃめちゃ上手い。実際問題、『バーニング・オーシャン』のストーリー自体は「事故ったから逃げる」という、男だらけのタイタニックみたいな話である。


事実は映画として盛り上がらない。

これは事実がそうだから仕方がない。でもそれでは映画として盛り上がらない。ということで、この映画は特に「事故が起こるまで」に絶妙なツイストを加えている。例えば序盤、現場作業員と一緒にヘリに乗る本社の人がマゼンタ色のネクタイをしているのを見たカート・ラッセルが「マゼンタは事故った時のランプの色で不吉だから外せ」と指摘するシーン。実際こんなことがあったかは知らないけれど、事故が起こるのを知っている観客は「不穏(ふおん)〜!」となる。現場でのコミュニケーションの不調と妙に楽観的な作業員たち。「この現場から戻ったら……」みたいなわかりやすいフラグを立てるマーク・ウォールバーグ。こういう不穏(ふおん)な目配せはストーリーの前半のいたるところに盛り込まれている。このように前半で入念に盛り上げられているので、ついに事故が発生した時のカタルシスがハンパじゃない。大小を問わない爆発に次ぐ爆発。めちゃくちゃ景気良く石油リグが吹っ飛ぶ!見てるこっちは「ほ〜ら言わんこっちゃない!」と思うけど、なんせ事実なんで全然笑えない。そして、ここからアメリカの頑固親父たちが全力で脱出する!ほとんど全焼してるけど、これどうすんの!?そのへんは是非DVDでご覧いただきたい。というわけで、実話を映画として着地させるための構成のパワーがとにかくすごい一本。流れるように話が進み、分かりにくい事実関係をスルスルと飲み込めるので、107分の上映時間はあっという間だ。大爆発にドキドキしつつ、語り口の妙味も味わえる良作である。


2010年のメキシコ湾原油流出事故はそれからどうなったのか?

2010年にはチリの炭坑深くに閉じ込められた人の救出劇が世界的な話題となりました。当時世界中で盛り上がったそんなニュースなどもあってなんだか忘れられてしまった感じもありますが、同年の春頃、日本から見て地球の裏側において大事故が起こっていたのをご存じでしょうか?それはメキシコ湾における原油の流出事故。このニュース、非常に大きな事故の割に、日本でも政局などに隠れてそこまで大きな報道はされなかった印象がありますが、これは環境事故としては史上最大クラスと言ってもよいほどのものとなっていました。今日はその経緯と、日本ではほとんど報道がされなくなったこの事件がどうなったかというのを書いてみようと思います。


史上最悪の原油流出事故発生

事の起こりは2010年4月20日(火曜日)。この日、アメリカルイジアナ州ベニス沖にある原油掘削施設「ディープウォーター・ホライズン」において、大規模な暴噴事故が発生し、噴出した油が爆発を起こします。この爆発事故により、そこにいた126名のうち11名が行方不明となります。掘削施設は二日間燃え続け、2010年4月22日(木曜日)に沈没しました。 しかし、掘削施設沈没後も海底にはパイプが残り、その破損箇所などから原油の流出が続き、それがメキシコ湾一面に広がります。流出した原油は2010年4月30日(金曜日)には200km、幅120kmに達し、一部はアメリカの沿岸でも確認されることになります。そのため、ルイジアナ州、アラバマ州、フロリダ州、ミシシッピ州の4州で非常事態宣言が発令されました。


何故事故が起きたのか

何故事故が起きたのかというのは、いろいろな情報がありますが、作業の遅れと損失を取り戻すために安全性を軽視して掘削を急がせた結果、このようになってしまったという人為的な要因があがっています。


約78万キロリットルの原油流出

その後も流出は止まらず、当初一日5000バーレル(1バーレルは約159リットル)とみなされていた流出量は、およそ1日あたり12000から19000バーレルと推定されるようになります。このまま流出が続いた場合、メキシコ湾どころか海流によって他の地域にも原油が流れ、世界の生態系に重大な影響を及ぼすことが懸念されましたが、2010年7月15日(木曜日)にキャップを設置することが出来、なんとか流出を止めることが出来ました。そこまでの総流出量は約78万キロリットル。1989年の米史上最悪と言われたアラスカ沖原油流出事故や、1991年の湾岸戦争時に、イラクの悪事としてたびたびメディアでアピールされた原油流出をしのぐ、最悪の原油流出事故となりました。ちなみにこの流出の様子はBPのサイトでビデオ中継されていました。当時は原油が噴き出す映像ばかりでしたが、現在は止まっているようです。


事故対応に対する批判

このように史上最大の原油流出事故となってしまったわけですが、問題となったのは事故だけではなく、BPの対応のまずさにありました。まずCEOが、このとんでもない規模の事故であるにもかかわらず、「メキシコ湾は広大だ。海全体の水の量に比べれば、流出した石油と分散剤の量など微々たるものだ」とか「私は誰よりも終結を望んでいる。自分の生活を取り戻したい」と言ったことが顰蹙(ひんしゅく)を買うことになりました。さらに後の調査で、爆発炎上の最中も救助要請を権限がないと叱責したり、責任者が不在だったりと、BP幹部の危機意識が非常に希薄だったことも大きな問題となりました。また、真偽は不明ですがネット上の情報操作も噂され、そこでもかえって悪評が広がります。それに対して、BPは流出のビデオ映像を中継するなど、誠実に対応しているのを見せつけようとしましたが、中にはセンターの写真はフォトショップ加工したものだったという事例まで出てきてしまったりしています。そのCEOは退任が発表されましたが、最後に多額の年金を受け取ることが報道されました。また、ホワイトハウスの対処がまずかったという声も出ています。


史上最大最悪。地球規模の海の生態系を変えるような事故。流出の影響

原油の流出は、その海の生態系周囲の環境に多大な影響を与えました。メキシコ湾岸は漁業が盛んで、エビや牡蠣(カキ)などがよく採れましたが、この事故の影響でそれらが出来なくなり、漁業者は深刻な打撃を受けました。観光産業でも影響が心配されました。それに対する賠償責任も膨大で、BPは数々の裁判を起こされています。BPは、2010年4~6月期決算において流出事故の対応に伴う原油回収や地域住民への補償の負担などで赤字を計上。その純損失は171億5千万ドル(約1兆5千億円)。その損失額は英国企業の歴史上もっとも大きいという話です(ちなみに前年同期は43億8500万ドルの黒字)。また、BPは事故前は非常に優良な企業と目されていて、イギリスでは年金基金の運用先として有力なところだったようですが、これが一気に最悪の財務状況となってしまい、経済的動揺が広まりました。


日本企業への影響

この事故、日本からは地球の反対側の出来事ですが、日本企業にも少なからず影響がありました。というのは、日本企業、三井石油開発の子会社MOEXがここの権益の10%を持っていたからです。ただノンオペレータ権益だったため、責任はないと主張。その後、BPから400億円超の請求が行ったそうですが、支払いは保留。また、周辺の住民や企業がBPを始めとする同プロジェクト参画企業に賠償を求める裁判を起こしており、その対象に三井石油開発などが含まれる裁判件数がのべ100件以上に上ることも明らかになりました。それとは別に、大手商社丸紅が、BPからメキシコ湾の石油・ガス田の権益を取得したとのニュースがありました。その後2012年2月17日(金曜日)、MOEXは9,000万ドルを連邦政府及び湾岸の5つの州に和解金として支払うことに合意しました。


その後どうなったか

2010年7月の封鎖以降は日本ではほとんど報道されなくなりましたが、当然それからもいろいろと事態は進行しました。主には石油の除去作業と、BPに対する損害賠償の訴訟になります。ルイジアナ州では流出事故から6カ月が過ぎても、漁は停止したままだったようです。この頃になるとBPは湾岸地域の復興と経済被害救済のため、200億ドルを拠出して基金を設立し、住民は補償金の申請を開始したが、煩雑な書類や言語の壁に阻まれて、手続きは進まなかったとのこと。そして所得に応じて6千~1万5千ドルの小切手を送られた漁民も、住宅ローンや漁船の維持費を抱え、「とても足りない」と訴えていたようです。2010年10月にはBPと各大学の研究チームが、今年のイグ・ノーベル賞にも選ばれました(化学賞)。受賞理由は「油と水は混ざらないという古い定説の間違いを証明した」からだそうで(ちなみに以前は、ジンバブエの通貨も使われないであろう桁数を使うことになったことで受賞してました)。


アメリカ史上最高の罰金額

そして事故から2年後の2012年3月、BPは最大の原告団と約78億ドルで和解。そして2012年11月、米連邦政府とBPとの間で、「刑事上責任における」罰金として、約45億ドルを支払うことで合意したと発表されました。米当局による罰金支払い額としては過去最高額になります。2013年7月には、BPは賠償基金として積み立てた200億ドルを損害賠償に充てると発表。BPが汚染対策、損害賠償、罰金などで費やした金額は、この時点でも少なくとも総額400億ドル超になるといわれました。


2017年になっても続いている影響。これからも続く影響

それから3年後の2013年、BPはフロリダ、アラバマ、ミシシッピー各州の浄化作業が終了したと発表。そして2014年4月には、ルイジアナ州沿岸の浄化作業も完了したようで、ここに一つの区切りを迎えます。さて、2014年においてもBPと原告、国の裁判は続いていました。国のほうは「水質浄化法違反」の制裁金(2012年のものとは異なる)。これについて米政府はBPに160億~180億ドルという高額の制裁金を科す構えとします。しかしBPはそれだけの制裁金を想定していなかったため、異常な額と反発。この審理は2015年1月に開始される。一方原告団に関しては、いったん合意した和解案の執行内容の一部に不服を申し立てて賠償額の軽減を目指していたようですが、米連邦最高裁判所は同社の訴えを退ける決定を下しました。そして流出した石油ですが、最近そのうち約200万バレルが海底に沈殿したと推計した論文が発表されました。約20年前に事故が起きたアラスカ湾の石油流出事故では、ここ数年でやっと魚が捕れるようになったそうです。つまり20年間近く、この近辺では漁業が出来なくなる可能性もあります。さらに生態系への影響も心配されます。ニュースは加熱した事故発生時からだんだんと忘れられてゆきますが、事故による影響はここまで長く続き、そしてまだ2017年の今も継続中なのです。














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