永遠の夢に向かってバイロン・ケネディ

 

バイロン・ケネディ

バイロン・ケネディ

















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Byron Kennedy



















































アメリカのアクション映画にはみられなかった圧倒的な疾走感と、リアルこの上ないスタント。突き抜けた描写は世界中を熱狂させた。シリーズは1985年の『マッドマックス/サンダ―ドーム』以来、長いブランクに入った。シリーズを監督のジョージ・ミラーと立ち上げたプロデューサー、バイロン・ケネディが1983年に急死したことが理由だ。『マッドマックス』の一作目と二作目が突出していたのはプロデューサーのバイロン・ケネディの影響が大きい。バイロン・ケネディは残念ながら三作目の『マッドマックス3 サンダードーム』の製作前に事故で31歳の若さで死去。『マッドマックス3 サンダードーム』は一作目と二作目にあった不良度と狂気度が大分薄まってしまった。




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▲バイロン・ケネディ(左)とジョージ・ミラー(右)



38年前にはじまった『マッドマックス(1979年)』シリーズの最新作が2015年に公開された。1981年に発表された『マッドマックス2』の素晴らしい出来ばえによって、シリーズはカー・アクションの金字塔のみならず、近未来SFの傑作として映画史に名を残すことになった。アメリカのアクション映画にはみられなかった圧倒的な疾走感と、リアルこの上ないスタント。突き抜けた描写は世界中を熱狂させた。もっとも、シリーズは1985年の『マッドマックス/サンダ―ドーム』以来、長いブランクに入った。シリーズを監督のジョージ・ミラーと立ち上げたプロデューサー、バイロン・ケネディが1983年に急死したことが理由だ。ミラーにとっては、ケネディは映画の師匠であり、信頼のできる相談相手だった。1981年、筆者はオーストラリア・ブロークンヒルで、『マッドマックス2』の撮影に立ち会う機会を得た。荒涼とした現場で、スタッフ全員が面白いアクションをつくるという意気に燃え、知恵を出しあい、広大な大地を走り回っていた。カー・アクションの決定版をつくるというミラーの思いが伝播していたが、そうした現場でも大勢をみるミラーの意見が取り入れられることも少なくなかった。ケネディ亡き後に、ミラーがコメディの『イーストウィックの魔女たち』や、人間ドラマ『ロレンツォのオイル/命の詩』、あるいはファミリー・ピクチャーの『ベイブ/都へ行く』に『ハッピーフィート』などを手がけたことで、カー・アクションに封印したのではないかと思われた。だが、ミラーはカー・アクションの新たな高みを目指すべくここに復活した。聞けば、シリーズ第4弾のことは決して忘れていなかったそうで、2001年にはグラフィック・ノヴェルのアーティスト、ブレンダン・マッカーシー、『マッドマックス』に出演した盟友のニコ・ラソウリスとともにイメージを膨らまし、脚本を構築していたという。この時点でシリーズ前3作の主演を務めたメル・ギブソンも出演するはずだったが、撮影間近になって、イラク戦争の余波を受けて、ロケを敢行するはずのアフリカ、ナミビアに機材、車を運べずに頓挫する。ギブソンも作品から下りてしまう。しかし、ミラーは諦めなかった。機会を待ち続け、長い期間を経てようやく撮影を開始。今年の公開にこぎつけたのだ。アクション・シーンは可能な限りCGを排して、本物の車が爆走する迫力で押し通す。ミラーはケネディとともに育んだこのポリシーをさらに純化させて、映画本来の持つ“動くダイナミズム”をとことん追求してみせる。そのためにはストーリーはとことんシンプル。追われる・追うのサスペンスで一気呵成に走りきる。撮影にはオーストラリア出身で『イングリッシュ・ペイシェント』や『刑事ジョン・ブック/目撃者』などで知られるジョン・シールを起用。映画の魅力を際立たせるスタント・コーディネーターを統括するのは『マッドマックス2』にも参加していたガイ・ノリス(第2班監督としても活躍している)が担当している。しかもキャスティングが心憎い。ギブソンに代わってマックスを演じるのは『インセプション』、『裏切りのサーカス』、『ダークナイト ライジング』などで注目を浴びているトム・ハーディ。この作品以降も『チャイルド44 森に消えた子供たち』をはじめ話題作が目白押しのハーディが、ここでは感情を秘めた孤高の戦士を存在感たっぷりに演じている。さらに『モンスター』でアカデミー主演女優賞に輝いたシャリーズ・セロンが髪の毛をばっさりと切って、パワフルな女戦士を演じきる。ある意味、彼女が主役ともいえる活躍ぶりである。加えて『ジャックと天空の巨人』や『ウォーム・ボディーズ』などで人気のニコラス・ホルトも参加するなど、個性に富んだ布陣となっている。石油も水も尽きかけた近未来、元警官のマックスは本能だけで生き永らえていたが、資源を独占し暴力で民衆を押さえつけるイモータン・ジョーの軍団に捕えられてしまう。軍団の“輸血袋”(輸血のための奴隷)にされてしまったマックスだったが、おりしもジョーの右腕フュリオサがジョーの5人の妻を連れて逃走する。マックスも“輸血袋”としてフュリオサ追跡に駆りだされるが、折をみて脱出。軍団の一員ニュークスとともに、フュリオサと行動をともにすることになる。容赦ないジョーの追撃のなか、フュリオサが目指すのは緑なす楽園。マックスは彼女たちをサポートするが、思わぬ事態が待ち受けていた――。冒頭、マックスの車が軍団に追われるアクションからはじめて、全編、アクションとスタントのつづれ織り。息もつかせぬほどめまぐるしく、パワーのある映像が重ねられていく。ミラーの演出は明快だ。とことん走る、走りぬく迫力を画面に焼き付けてみせる。ストーリーがシンプルな分、スタントやアクションの趣向は手が込んでいる。スピードとともに、およそ考えが及ぶだけのスタントシーンが披露される。見るものを感嘆させるためだけに、ここまで車を破壊し、危険なスタントを仕掛ける。まさしく、シリーズを始めたときの熱気が画面から放たれているのだ。ミラーは初期の頃に比べて演出力も増し、アクションのつなぎもスピードダウンせずに疾走。単に勢いだけでなく、語り口にうまさを感じさせる。アクション全開のミラーがここに蘇ったといいたくなる。本作ではマックスはむしろフュリオサの行動をサポートする役どころで、ハーディも演じるにあたって、キャラクターの奥行きを感じさせながら、控えめな存在感を維持している。ハーディは容貌が個性的というわけではなく、演技でキャラクターを際立たせるタイプ。映画が進行するにつれ、知性も感じさせるヒーローとして輝いてくる。シリーズとはいっても、新たなヒーロー誕生の趣だ。フュリオサを演じるセロンはアマゾネス的ヒロインにチャレンジ。きりりと男前のキャラクターを演じきる。躍動し、アクション・ヒロインとしての魅力を披露してくれる。さらにはホルトは近未来の青春像にペーソスを発揮し、『マッドマックス』で暴走族のリーダーを演じたヒュー・キース=バーンもイモータン・ジョー役で怪演。画面の熱気をさらに高めている。すでに本作から3部作に仕立てる計画のあるのだとか。カー・チェイスの醍醐味を心ゆくまで満喫させてくれる、走るダイナミズム、追いかけのサスペンスに貫かれた快作。これは一見に値する。 IMAXでみると迫力は超ド級だ。















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